拍手お礼SS
斎藤VS千鶴・・・どっちがいっぱい?(ED後)
「それにしても、一さんって呼ばないと振り向いてくれないなんて、ちょっと子供っぽいですよ?」
先ほどのことを思い出してくすっと笑を漏らせば
「何を言う。千鶴がいつまで経っても慣れないから・・・それに」
はらりはらりと自分たちに舞う雪からつと視線を私に移して
「千鶴だって、俺に雪村、と呼ばれたなら…さみしいだろう?」
言われて初めてそんなことに気づく。一緒にいるのが当たり前で二人の時間がとても愛しいのにそんな風に呼ばれたなら、他人行儀な気がしてさみしいと思うだろう。
「本当ですね、すみません斎藤さ・・・・は、一さん!」
またしても口が勝手に斎藤さんと動いてしまって、おそるおそる一さんの顔をうかがうと・・・
ああ・・・どうしよう・・・拗ねちゃった・・・
新選組にいたころには考えられないようなこんな態度。でもそれは自分にだけ、気を許してくれている証拠だと思うから・・・本当は嬉しさもいっぱいあって、つい顔がほころんでしまう。
「何故そんな楽しそうな顔をしている・・・」
むすっと一さんが言葉を吐く。
「ごめんなさい、だって・・・」
かわいいと言えば今は余計気を害してしまうかも・・・
「?」
少し首を傾けて、私の返事を待っているのがやっぱりとてもかわいい。
「ふふ、ただ幸せだな〜って思っただけです、一さん。・・・自然に言えましたよね?」
一さんはああと微笑んで満足そう。よかったと思って気がゆるんじゃって、そのあと、余計なことを言ったばかりに私は今すごく困ってる。
「でも、一さんだって、二人でいてもあんまり話しかけてきてくれないですよね?」
突然話を切り出した私に、ついと視線をこちらにむけてじっと私を見てる。
「一緒にいたって口を開くのは私ばかりで…一さんって自分からこういうことがあったよ〜ってあんまり切り出してくれないし」
どういうことを言いたいのか予想がついたのだろうか、少し困ったように微笑んでいる。
「一日あった出来事とか、あんまり聞いてくれないし、興味ないのかなって思うときありますよ?」
興味ない、のくだりから表情が少し固くなったのに千鶴は全く気がつかず先を続けて
「一さんの方がさみしい思いさせてること多いかも」
私ばっかりじゃないですよ〜と軽い冗談のように言ったつもりで、ふふっと顔を見てみれば。
全然笑ってない・・・
「あ、あの・・・今の本気じゃないですよ?さみしいなんて、私一緒にいるだけで、その、あれですし」
「あれとは何だ」
すぐに切り返される不機嫌そうな声にたじたじしながら
「あれっていうのはその、あの・・・」
もはや何を言ったのかよくわからないほど頭の中が混乱してきて。
「千鶴の言いたいことはよくわかった」
「え?」
「…千鶴が話しかけてきてくれるから、呼びかけられると必要とされている気がして、甘えていたんだな、すまない」
「い、いえ!!そんなこと・・・・そんな風に思っていてくれたんですね、嬉しいです」
冗談で紡いだ言葉に真面目に返してくれて。
少しびっくりしたけど、やっぱりこういうところがとても好きだと思う。
ふふっと笑いあって目を合わしていたら急に真顔になって
「だが」
ほんわかとし雰囲気はどこへやら・・・切り出された言葉は・・・
「千鶴よりも、俺の方がさみしい思いをしている」
「?名前のことですよね?すみません」
「いや・・・・」
一は寸刻黙って何か思案していたようだが、思い切ったように千鶴に向き合うと・・・
「千鶴、それを言うなら千鶴は出かける時に手を差し出してきてくれない」
「・・・え?」
「俺がいつもお前に手を出して手をつなぐだろう?それに・・・」
「は、はい」
「千鶴は俺以外の人に笑顔を振りまきすぎだ」
「はい・・・って、え?」
「俺だけが独占しておきたいような笑顔を他の奴らに簡単に見せるな。それと・・・」
「ま、まだあるんですか!?」
「・・・・好きだと、言ってくれない。」
「っ!?そ、それは〜」
「俺の聞きたい、肝心なことはあまり言葉にしてくれない。先ほどもごまかしたし。これは、どう考えても俺の方が多いだろう?」
「斎藤さん!外ですよ!ここ、外!」
「・・・・・・・・・・・・・」
「あ、一さん!!」
「千鶴」
「はい・・・」
「俺のことを、どう思っている?」
・・・・・な、何でこんな状況になってるの!?
自分が軽はずみに言った冗談を取り消したいけどもう遅い。
そっと両腕を掴まれて、でも、離れようとすると途端にギュっと掴まれて離れることなんて無理。
この状況…言わないと、離してくれない!?
うううう〜
本当に好きだから、たった二文字の言葉にこんなに詰まるんですよ…わかっててしてるような…
「一さんのことが・・・
END
押していただいた方に感謝をこめて。みかん。
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