発売まであと5日!
ノエルルSS
『喜び爆発!』
「う〜ん…今日はいいものがないな」
ソロ・モーンの魔法具店で、いつものようにあまり当てにならない目利きをしている時。
ふと、目にとまったものは一つのペンダント。
いや、二つというべきか・・・ペアで並んでいる。
とても魔法具のようには見えないけれど…
「これは・・・何かの魔力が込められているのか?そんなにすごいものには見えないが…」
それでもつい、手にとってしまうのは…きっとこういうものを渡せば喜ぶルルの顔が浮かんだからだろう。
ただ、呪われたものなどの類いに入るならば当然渡せない。
傍にある説明書を手に取り読んでみると…
『ラヴラヴペンダント』
『好きな人とずっと一緒にいたいあなたにお薦め!
二人のムード盛り上げ機能満載!
離れることには絶対ならない素敵機能付き!』
「・・・・・・・・・な、何だくだらない・・・こんなものを僕が信じるとでも・・・」
ははっと乾いた笑いを零しながら、それでもペンダントを離さないノエルさん。
店の中でかなり、かな〜りの時間悩んだ挙句、
「こ、こんなものに頼らなくても、僕たちは平気だ、そうだ、大体こんなもの・・・」
未練がましく見ながらも、ノエルはそんな気持ちを振り切るように店を飛び出したのだった(よっぽど欲しかったらしい)
翌日。
日曜日はルルと一緒に過ごす約束をしていた。
「おはよう!ノエル」
「ああ、おはようルル・・・・・っああああ!?」
ノエルが朝から絶叫してしまうのも無理はなく。
ルルの首には、昨日悩んだものと同じペンダントが間違いなくかけられている。
「ど、どうしたの!?」
「い、いや、取り乱してすまない。何でもないんだ、何でも・・・」
言いながら、ノエルの視線はどうやら自分の首、胸許に集中しているのがバレバレで。
「・・・あ、そうか、このペンダントね、昨日かわいかったから買っちゃったの!」
「昨日?君は確かアミィと出かけると・・・」
「うん!帰りにね、ソロ・モーンのお店に寄って・・・」
「あの店に!?」
ギクっとなってしまう。
自分があのペンダントの前で悩んでいた時間は1時間を軽く超える。
入れ違いになって本当によかった・・・とノエルは安心して、ハッとある事実に気がつかされる。
・・・・・・・・ペアで売られていたもの。もう一つは・・・?
ルルは、この機能を知っているのか??
だけど、そんなことを知っているというのは話せない。
聞くことができないっ!!
くううっ!!ともどかしい気持ちを持て余しながら、表情だけはいつものように、はははっと取り繕って。
「そ、そうか。気に入ったものが見つかってよかったじゃないか!」
「うん!可愛いでしょう?」
「だが、僕たちは学生だ。普段は見えないようにした方がいいと思うが・・・」
目にしてしまえば動揺してしまう。
気になって、ずっと痙つった笑いになるかもしれない。
「うん、学校の日は制服で隠れるから大丈夫・・・ね、これ可愛い?」
「ああ。よく似合っている・・と思う」
それは本当で。
あんな機能の事さえ知らなければきっと、もっと、よく似合っていると見とれていたと思う。
「そっか・・・実はこれペアでね?ノエルにも付けて欲しいんだけど・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・え?」
「男の人には可愛い過ぎるかなあって・・・駄目かな?」
ルルはバッグの中から一つの細長い箱を取り出して、ノエルに差し出す。
商品名、説明書、をちらっと見るだけでも・・・やっぱり同じものだと認識できる。
これを・・・僕にくれるということは・・・・つまりっ!!
「僕には可愛い過ぎるような気もするが、だが君が付けてほしいというなら・・・喜んでつけよう!」
「ありがとう!よかった・・じゃあ、はい!」
「・・こちらこそ、ありがとう・・・このお返しに、また僕に今度何か送らせてほしい」
ああ、駄目だ。顔が笑う。
もっと真面目に、キリっとした表情で言いたいのに・・・
「それだと私がまたお返しすることになるわ!ずっと続いちゃう!」
にこっと笑うルルに、続いても僕はいい、嬉しいという思いで胸をいっぱいにしながら
ノエルは早速ペンダントを身に付けた。
送ってくれたことよりも、想いを向けられているのが嬉しくて嬉しくて、
ノエルがルルの視線を気にすることなく、喜びを爆発させたのは夕方、二人が別れて、男子寮の鏡に入った瞬間。
「や、やったー!!!」
そんな叫びは・・・ルルにも聞こえていたのだけど。
まさか、実はルルに、ペンダント片手に店で悩んでいる姿を目撃されていたとは露知らず。
そんなノエルの様子を見たルルも嬉しくて、ノエルが飛び出した後、顔を赤らめながら迷わずペンダントを買ったなんて知らず。
今は幸せに浸る二人が、ペンダント機能に、いい意味で振り回されるのはそう遠くない。
「や、やったー!!!」
『早く部屋に戻って、ペンダントの機能をもう一度よく確かめよう!変な機能があってはいけないからな!』
『・・・・こ、こんなことが!?いやいや・・・ある筈がない。ふっこんなものに振り回される僕ではない』
↑
しっかり振り回される予定