ラギ。

Happy Biruthday!!!


普段あまり叫べてないけど。

ワンド最愛のラギに幸せを…












前置きに漫画をちょこっと…












続きからSSですv








誕生日。


この日を迎えるまで、なにやら張り切ってあくせく楽しそうに動く彼女。
巻き込むメンバーをひきずり歩く姿に、くだらない事が起きそうだとばかりため息はでれど。
そこまで自分の為に動き回るルルを、どうしたってどこかで喜ぶ自分がいる。

喧嘩もする。
仲直りもする。
ふと二人肩を並べて歩く道、知らず触れた指先を強烈に意識しながら…

繋ぎたそうに目を向けるルルの視線を痛いほど感じて。
手繰り寄せる幸せ。
じっちゃばっちゃといるときの、ほのぼの暖かい幸せとはまた違う…初めてばかりの幸せが胸を満たす。

ルルのすることには、いつだって不安もあるけど。
それ以上に「誕生日くらいで騒ぎやがって、単純なヤツ――」と顔をほころばせる自分がいて。

何かを期待して、向かえた誕生日――



「お誕生日おめでとう、ラギ。俺からはこれ、喜んでくれると嬉しいな」
「ふふん、君も僕の誕生日を祝ってくれたからなあ!僕も吟味してプレゼントを選んだんだ。さあ!受け取ってくれ!!」
「ラギは嫌がるかもしれまセンが、ルルとお揃いのメーカーの香水にしまシタ。試してみてくだサイ」
「おめでとうラギ君。一つ大人になったわけだけど、今俺が渡したもので更に大人になれるんじゃないかな?…ん?効果は内緒だよ。実感してくれないと」
「…おめでとうございます。先に言っておきますが、僕のは普通です。変な期待は持たないでください」

ルルに導かれるままに、パーティをする為に飾った一室に入った途端、瞬く間に両手にいっぱいのプレゼント。
一気に受け取ったおかげでどれが誰からのか、わからなくなってしまったが…

この個性の強いメンバーからのプレゼント。
開けてみればすぐに誰からかはわかるだろう。

普段面倒ばかりかけられている気はするが、こう素直にお祝いをしてもらえるのは…
気恥ずかしいもので。

そういう感情を表情に出すのも、このメンバーの前では余計に恥ずかしさを煽る。

「…お、おーありがとな」

果たして「ありがとう」と言って大丈夫なのか、危ういプレゼントもありはするけれど。
笑顔で自分を囲むメンバーに素直にお礼が口をついて出た。
照れくささに、いつもの勢いはまるでなかったが。

「…ふふっラギ。照れてるのね!」
「う、うるせー!!照れてなんかいねー!」
「うんうんっプレゼントって嬉しいものよね!」
「人の話を聞けー!!」

プレゼントを抱えたおかげで自由に身動きできないラギを、楽しそうにルルが小突く。
くすぐったさにワッとバランスを崩し、落ちそうになったプレゼントをルルが受け止めた。

「私も後で渡すから!プレゼントここに置いとく?後で見る?あ、ラギの好きなお肉たくさん準備しているのよ!いろんな国のお肉料理をみんなとがんばって揃えて…」
「だ〜〜〜!!いっぺんにしゃべるな!」

少し落ち着け、とプレゼントをその場に置いて部屋の中を見渡す。
確かに、見慣れない肉料理がたくさんあって…見ているだけで喉が鳴ってくる。
香ばしいにおいも、食欲をそそって…

そんなラギに残念そうに声がかかった。

「あれ、ラギ君。俺のプレゼントは今開けて試してくれないと…効果がわかりにくいと思うんだよね」
「ほ〜そーか…ぜってー嫌だ。部屋に帰ってから見ることにする」

アルバロのあの期待に満ちた目。今じゃないと…とか、効果が、とか。怪しすぎる言葉。
ラギは迷わず一刀両断。
アルバロはえ〜ひどいなあと大して困ってもないのに、困ったような笑顔を作っていたのだが。

「まあまあ、料理は出来たてが一番デス。食べてもらわなけれバ意味がないデスからね」
「そうだね。冷めると固くなって肉汁とかも沁み出てこないしね。俺は気にならないけど」
「貴様は冷めた料理ばかり食べているからだろう?ユリウス。たまには作ったプーペのことを考えて温かい料理を食べることだな!」
「まあ、出来れば一刻も早く食べてこのにおいを消して欲しいですね。胸焼けが治まりませんから」

言葉は違えど、どうぞ、とすすめられて断るラギではない。
遠慮なく、次から次へと肉に手を伸ばしていたのだが…

「・・・・・・・・・・?」
「どうかしまシタか?ラギ」
「いや、…」

きょろっと首だけを動かして、目を肉料理ではなく、空中に彷徨わせるラギにアルバロが目を細めた。

「ルルちゃんなら、俺たちにここを任せてちょっと用事をしに行ったみたいだよ」
「用事…何の?」

あれだけ誕生日を祝うと張り切っていたルルが、その当日に抜け出るほど大事な用があるのだろうか――?

「さあ、俺たちには見当もつかないけど」

嘘吐け――

どう見たって見当ついていて、面白そうにこちらの様子を伺っているようにしか見えない。
アルバロにそんな顔をさせるのは癪なので、気にしないで肉をまた一口、口に運ぶ。

「彼女は今いまセン。けど、ラギ?ルルがラギのことを考えて頑張ったのは…部屋の中をよく見ればわかるのでハ?」
「別に…頑張ってくれてんのは、言われなくてもわかってんだよ」
「そうデスか」

それ以上何かを言いはしなかったけれど、それでも何かひっかかる言い方だった。
ビラールがわざわざそう言ってきたのは何故か。

物珍しい料理、プレゼントの数々。
一つ一つ確認するように目で追って。
目で追う途中に気がついたこと、今まで気がついていなかったこと。

飾り付けられた部屋の中、目立たないけど確かに飾られてあった一輪だけ挿された花。

あの花は、実験に使う貴重な花で。
暗闇の中、見えない森の中をラギが案内してようやく摘むことが出来た花。

少しだけ咲いていたあの花を見たルルは、花に負けないくらいの笑顔を向けて、ふわっと微笑み、

『また、ラギと一緒に見たい――』

1年に一度、咲くか咲かないか、と言われる花。
ずっと、自分と一緒に見たい、と言ってくれた花――

「あいつ、どうやって…」

あの入り組んだ道を、ルル一人で行ける筈が…
考え込むラギの視線の先の花に気づいたエストが、その思考を邪魔しないように静かに口を挟んだ。

「動物を惹きつける魔法具、動物の単純な意思なら言葉がわかるようになる魔法具――ミルス・クレアには珍しいものがたくさんありますからね」
「・・・動物・・・ってあいつ・・」
「あなたを普段慕って寄ってくる小動物にでも尋ねながら探したのでは?正気とは思えませんが…そういう事を臆さないで行動に移すのが…彼女らしいです」

1日、姿の見えない日もあった。
こんなことをしていたのか――

「ラギは幸せだね。少し羨ましいって思う」
「そうだな。それに――むぐっ」

ノエルの口をアルバロが塞いだ。
ノエルは最初ジタバタしていたのだが、「ダメだよ、ノエル君。忘れた?」と言われ、何かにハッと気づいたように大人しくなる。

「な、何だよ。まだ何かあんのか」
「さあ?それよりお腹が落ち着いてきたなら、俺のプレゼントをぜひ、試してほしいなあ」
「てめー話を逸らすな!!」
「大丈夫、一滴振りかけるだけだから…」
「…って、てめー!!何振りかけて…っつーかプレゼントはあそこに…それは何だっつーんだ!」
「ああ、余ったのを持ち歩いていたんだ。役に立ったね。さ、どうぞ」
「食うかーーー!!!」







「ううっ大遅刻…しかもこれ目が…ああ…どうしてこう不器用なのかしら?」

最初は大丈夫!何とかなる!
そう思って自信満々に始めるのに、最後は何故か首を傾げる事態になるのは…

「料理はみんなが手伝ってくれたし、作ったのはプーペさんがほとんどだからうまくいったけど…」

包む間もなかったプレゼントに目を向ける。
これは人任せにするわけにはいかなくて、だから必死にアミィに教えてもらって自分なりに頑張ったけど…
結局誕生日にも間に合わず、今全力疾走している。

出来た!と完成したばかりのプレゼントを持って、今から行く!と飛ばしたメサージュには、返事が返ってこなくって。
もしかしたらみんな…もう部屋に戻ったのかな。と思いつつも一生懸命走った。

着いた部屋はシンとしてて、お皿やコップ。プレゼントなどもみんななくなっていて。
部屋の飾りつけだけがそのままだった。

けれど――

部屋の片隅に、気づくかな…?とワクワクしながら飾った花が中央のテーブルに。
傍には待ち疲れたのか、眠っているラギ。

「…ラギ、遅くなってごめんね?」

静かに寝息をたてるラギ。
腕を交差させて枕にして、机に突っ伏しているその髪にそっと触れた。

身じろぎ一つしないラギに、そうだ、今のうちに――とプレゼントを手にあててみた。
手編みの手袋。
編み目がずれているけど、ちょっとほつれているけど。

「…大きさには問題…ないみたい。いっつも手を繋いでいるから、大きさは自信があったものね」

にこっと繋いだ温かさを思い出して笑顔になるルルに「一人で笑うな。恥ずかしーやつ」と声がかかった。
ええ!?と驚いて手袋を隠そうとすれば、いつの間にか起きていたらしいラギがその手袋をしっかり手にとって。

「遅ーよ。てめーいつまで待たせるつもりだ」
「ご、ごめんね?これが中々終わらなくって…」
「…あんな山の中に、一人で花なんか取りに行くからだろ。無茶すんな」
「・・・・・・・・・・・・」

ぶすっとしながらも赤くなった頬で、花のことをわかってくれたのがわかる。
気付いてくれたことで嬉しくて、黙っていたルルの態度を、不機嫌になったのかと勘違いしたラギが慌てて言葉を付け足した。

「言っとくけど、余計な事だとか、迷惑だとか。そんな風にはこれっぽっちも思ってねーからな!?ただ、てめーが無茶すると心臓に悪いし…気が気じゃねーっつーか…」
「無茶してないわ!ラギが喜んでくれるなら…私はそれが一番嬉しいし」
「だからっ!てめーがそう思うよーにオレだって…あ〜とにかくだな、…何が言いてーのかっつーと…」
「うん」

必死のせいか、ラギが手袋を握りつぶしているのは気になるけれど、大人しく言葉を待つ。

「花、一緒に見れたな」
「・・・・・・・うんっ」
「来年は、オレが連れて行く。つーか一人で行くな。一緒に見るんだろーが」
「咲いてるところを、一緒に見るってこと?」
「言っとくけど、花を見るだけじゃねーぞ。オレは、その為に一緒に歩いたりするのも……楽しみにしてるっつーか…
「え?」
「…っ何でもねーよ!…で、これがあいつらが言ってた事か」

握り締めていた手袋。
指を緩めてマジマジと見るラギに、ルルはあんまりうまくないんだけど、と前置きして。

「あのね、ラギが前に私に…ばっちゃの手袋くれたでしょう?あれ、私にすごくぴったりで、嬉しくて…でもラギのを取ってしまったから」
「いや、取ったっつーかあれは…」

実はもともと自分用ではなく、ばっちゃがルル用に編んだものとは今更言えない――

「だから私がラギのを編んだの!今は下手だけど、ラギのばっちゃみたいに上手に編めるようになるまで…それをつけてほしいな」
「・・・・・・おーサイズはぴったりだな」
「うんっラギと手を繋ぐの大好きだから、ちゃんと覚えてたわ!」
「バ…っ…だからてめーはそーいう事をイチイチ口にすんな!」

恥ずかしさに口を荒げるけど、本当はそんな素直な言葉にイチイチ喜んでいるのは自分で。

はめた手袋は見た目は悪いけど、ぎゅっと丸めた手に幸せをいっぱい掴めたような気がする――



「お誕生日おめでとう、ラギ――」


ありがとうの代わりに、手袋で包まれた手でルルの手をそっと取った。

引き寄せた体に、気持ちを何とか沈めながら唇を寄せた。