いい夫婦(11/22)の日!



Wand of Fortune

Lagi&Lulu



漫画&SSです。

漫画はラギルル新婚ものです。
ドラゴンか人間か…などと重い選択などはさせずに、もうそのままの二人です。

SSは漫画の続きものですが。

オチがあります。
ラギルルは新婚さんのままで!な方は見ない方がよろしいです。





ではどうぞv











SS





チチチ…

「ラギ、ラギ」
「んぁ…もう、朝か…?」

まだ眠い目をこすりながら、ふと、傍にある筈の温もりがないことに気が付いた。

目をぼんやり開けて、覚醒しきっていない頭を働かそうとしながら、

「――ルル?」

温もりの相手を探そうと名を呼んでみると…


「ハイ。おはようございマス。ラギ。昨夜はよく眠られたようデスね」
「おはよう、ラギ君。お目覚めいかがかな?」

・・・・・・・・・

何故か、朝の支度をすでに済ませたビラールとアルバロが笑顔でこちらを向いている。

「・・・・・・なっ?え、な、…」
「…混乱、していマスね」
「う〜ん、そうみたいだね。幻惑の効分が強すぎたのかな」

アルバロは申し訳ないと掌を天井に翳しつつ。
心配してそうな言葉を言いながらも、その後顔を見合わせた二人はどこか楽しそうである。

「ちょ、ちょっと待て。説明…つーか何でアルバロがこの部屋に…」

夢、さっきのは夢。
オレはまだ学生で、ミルスクレアに在学していて…

というのはわかってきた。
こっちが…今の現状が夢だと思いたい――そう頭の片隅で思ったことに、ラギは自然に赤面した。


「ふむふむ。かなり記憶が飛んでるみたいだね」
「ラギ?近頃中々眠れなくてイライラしていたのを覚えていマスか?」

・・・・・そういえば、そんなこともあったよーな気も…

「それで、俺がよく眠れるように…と特製の睡眠導入剤をね」
「ちょっと待て!オレはいくら眠れなくても、アルバロの薬にだけは頼らねーだろ!」
「ひどいなあ、ラギ君。まあ、そう言っていたよ。眠る前もね」

ふっと黒い笑みを浮かべるアルバロに、こいつやっぱりいけすかねー奴・・・と視線を尖らせたのだが。

「ですから、ワタシがラギの水に薬を忍ばせマシた。」
「っ!?て、てめー!!ビラール!!」
「無味無臭に出来たから、気付くこともなかったしね。でもよく眠れたんだし、よかったと思うんだけど」

こ、この二人。やることおかしーだろ!!

飲むとも言っていない睡眠導入剤を飲まされ、何故御礼を言わなきゃならないような雰囲気になっているのだろう。
それに…眠れたとしても、あんな夢見させられて――

はあ、とラギは嘆息しながら体を起こした。

「あー…たりー…」
「……だるい、か。ちょっと今の現実にがっかりしている分、余計にそう感じるのかな」

なるほどね、と口元を緩ませるアルバロに、ラギが思わず「何で…っ」と体ごと向き直ると…

「ぐっすり眠れるように、君の心理下にある願望を睡眠プログラムに取り入れるような成分を多めに含ませたんだよ」
「・・・・・睡眠、プログラム?」
「つまり、ラギがこうしたいって思っている夢を見られるように、ということデス」

うんうん、と何故か二人が生温かい目でこちらを見ている。

すごく、すごく…胸糞が悪い。

「ラギ君、すごく幸せそうに眠っていたようだけど、どんな夢を見たのか…気になるなあ」
「…っ別に、夢なんて見てねー」
「ハイ。夢を見ていようと、見ていなかろうと…ラギが眠られたのが一番デス」

ふふっとにっこり微笑みを向けたビラールに、これ以上の追及はなさそうだとラギが安堵したところ…

「ところで、ルル――」
「っ!?」
「…は昨夜、課題を終わらせられたのでショウか。心配デスね」
「そうだね、彼女必死になって自習室でエスト君に張り付いて教えてもらっていたみたいだけど」

ビクビクするラギを放っておいて、二人がそんな会話を始めた。

…何だ、夢のことまで知られてんのかと思った…

ラギがそのまま着替えを手にとろうとした時。

「あ、ルルちゃん」
「――っな!?」
「…かと思ったら違ったみたい。おかしいな。俺が彼女と他の子を見間違えるなんてね」
「ルルなら…きっとまだ部屋でショウね。今頃慌てて支度をしていそうデス」

くすくすと相槌を打つビラール。

ラギは無性に腹が立ってきた。

・・・・・・・・こいつら、わかってて言ってんな!!

羞恥と怒りに顔を真っ赤にしながら、さっさと身支度をして、乱暴にドアを開け逃げるように食堂に向かうラギ。
その様子に、二人がまた笑を漏らしていたのだけど。



「…くそっ馬鹿かオレは…」

あんな夢見て。

…オレがああしたいって思ってる?

んな事、考えたこともない。

一刀両断出来るくらい、そう、はっきりと言えるのに。
じゃあ、今は―と聞かれたらわからない。

夢の中では確かに幸せで。
失敗した料理だって、軽い言い争いだって、全部が楽しくて。

…今と、大して変わらねー

ルルといると、楽しい。
それは否定できない事実。

それに、最後身を寄せられても、変身しないでルルを抱きしめられた自分。
沸々と、胸に温かいものが込み上げてきていた。

「・・・・ああ〜〜!!飯、飯だ。そーだ、あいつの作る飯よりは断然こっちの方がうまい」

でも、それでも食べたくないと言えば嘘になるけど…
どーしたんだ、オレは。とラギが山盛りの肉を前に、はあ、と溜息を吐いた時。

「ラギ、おはよう。どうしたの?ご飯を前に溜息だなんて…っ」

熱でもあるの?とばかりに、丁度食堂に来たらしいルルが顔を覗きこんでくる。

・・・・・失礼なやつだな

「別に、何でもねーよ」
「…そう?ところで、ねえラギ」
「あ?」
「あいつの飯って、誰の飯?」

ブッっと思わず噴き出しそうになるのをグッと耐えた。

「…何言ってんだ、何の事だか…」
「だって、プーペさんのご飯があいつの飯よりうまいって…何かまずいものでも食べたの?」
「っま、まずくは…ない。それなりにっ、あ、あいつも頑張って…」
「うん。あいつって?」

必死になってフォローした自分を少し呪いたくなる。
誰、誰?と興味津津な様子で聞いてくるルルに、どうしたものやらわからない。

「何でもねーよ。つーか、オレは腹減ってんだ。飯を食わせろ」
「え〜…じゃあ食べ終わったら教えて!」
「しつこいっ!何でそんなに知りたがんのか、訳わかんねーよ」
「・・・・・・・ぶぅ〜…」

諦めたのか、ふわふわに作られたオムレツを口に運ぶルル。
尖らせた口は、途端においしいと緩んで。

単純だな、と思いながら…ぽつっと口に出たのは夢を意識していたからなのか。

「ルル、おまえ…こーいうの…作れんのか」
「こういうのって…オムレツ?オムレツ作ったことないけど…でも…作れると思うっ!」

自信満々に言うルルに、きっと夢で食べたような焦げたスクランブルエッグに変化したオムレツが目に浮かぶ。

「・・・・・・な、何で笑うのっ!!じゃあ今度作るっ作るんだからっ」
「おー頑張れよ」
「何その言い方・・・っラギが食べるんだからね!」
「・・・おーわかったから、落ち着け」

何でオレが!と言うと思ったラギが、どこか嬉しそうに頷いたのが不思議で。
わ、わかった、とまた食事を始めるルル。

そのほのぼのした一柔の空気は、夢と変わらず――








END








ラギルルでいい夫婦!!

…満足ですvv

ラギがドラゴンになることを選んだら、二人はお別れなのでしょうか…?
いずれ選択する時が…と思うとせつなくなりますが。

今回はとにかく…ラギルル熱をガーっと上げて一気に書きました。

漫画
ラギルルの新婚さんを描くのが楽しくて仕方ないww
「飯」とか言えるの、ラギくらいだと思いますよ。
ユリウスとか…他のメンバーはそんな風に言いそうにないし…
一番亭主関白っぽい気がしつつ、大事にされていそう…


SS
殿下とアルバロが組んで…っていうのが一番書きたかったんです。
ラギ翻弄されて、振り回されているのがかわいいv
ノエル・ラギ・エストは…そういう運命な気がします(笑)

最後の食堂の様子。
きっとエストが「・・・・・・はあ」と溜息吐きながら出て行くような雰囲気は出ていたと!
バロさんと殿下もこっそり様子覗いて、いる気がします…


ここまで読んで頂きありがとうございましたv