みく様リクエスト




ワンドオブフォーチュン:アルルSS
※みく様のみお持ち帰り可とさせて頂きます。



『Ma jolie femme』

・アルバロ友情ED後のお話です。
・R18です。
・少し鬼畜なアルバロ出てますが、最後は甘めです。






アルバロに連れ去られて、この街に住むようになってからまだ二週間ほど。
ルルにとって、最初の2、3日程は、昼間ふらっと外に出かけては、夜、この部屋に戻るアルバロを待つだけの生活だった。

外に出ても構わない、そうしたければどうぞ―とに笑みを浮かべるが、ルルにはこの国の言葉がわからない。
看板や本の文字も読めない。
一体どこにいるのだろう―そう思って調べようとしても、どうしていいのかわからない。

それでも、黙って家で待つのは嫌だった。
元々、大人しくするのは性分じゃない。
だからアルバロが家にいない時は、誰かと話す訳でもないけれど、なるたけ外に出るようにした。

外気に触れて、言葉はわからなくてもお店を回ったりするのは楽しい。
一度、料理でも作ってみようかな?と、ケーキの材料や夕飯の材料を買ってみて帰り道、意気込んではみたものの。
料理本を読めない、手本すらない、こういうものを作りたいと言ったものすらあやふやな状態で作ったものは、惨状だった。

それを帰って見たアルバロに、一口も口に含むことなく呆れたような眼差しと、見下すような笑顔を向けられて以来、作っていない。

「アルバロの方が料理がうまいのよね、教えてくれたっていいのに」

自分が作る方が早い、と言って、パパッと作ったり、出来合のものを買ってきたり。
アルバロにとって、今の生活が本当に楽しいのか、よくわからない。
それでもここに居続けているということは、そういうことなのだろう。

ルルはこの、妙な共同生活に慣れて、楽しささえ感じることも多かった。
元々、アルバロには好意を持っていたから、当然と言えば当然かもしれないけど…

「・・・みんなが心配してるって思うと…やっぱりどうにか…うんっ」

アルバロがいつ、飽きるかわからないこの生活。
ひとまずこの国のことを理解しなければ、とこっそり勉強をしていたのだが…


バンッ――


無遠慮にドアが開けられて、明らかに不機嫌な様子のアルバロが入って来る。

「・・おかえりなさい、アルバロ。何か、あったの?」

聞かない方がいい時もある。
けれど、この時のアルバロは不機嫌ながらも、その事について触れなければもっと機嫌が悪くなるような…そんな様子に思えたのだ。
ルルの問いに、アルバロはふと見定めるような視線を寄こした後、

「・・・・・・・#%'?* %&=~/|}*+>?」
「・・・え?」

この国の言葉で、何かを問いかけてくる。
また何か嫌がらせだろうか、ルルは何が何やらわからないまま、その言葉の意味を必死で考えた。

聞いたことのあるような発音があった。

そうだ、今日外へ出かけた時に、何度も耳にした言葉だ―
「食べる」って言葉だったと思う。
何かを食べようってお誘いかな?

「うんっえっと…食べたいっ」

パっと顔を明るくして頷いたルルに対して、アルバロは反対にその表情を凍らせていく。
けれど瞬時に、いつもの笑顔を張り付けた。

「へえ、本当にわかったんだ。すごいねルルちゃん。この国の言語を、もう身に付けていってるんだね」
「身に付けてって…単語くらいしかわからないし、今日、たまたまよく聞いた言葉だったから」
「たまたま、ねえ…いつ、聞いたのかな。教えて欲しいんだけど」

滑らせるように身を近づけて、その距離をあっという間に縮めて。
瞳の色は温かいのに、冷たい視線。
両腕を押さえられ、そのまま壁際に押されてしまう。
いつもの、冗談だとは思いつつも、ルルの体は一瞬震えを帯びた。

「え・・いつって、今日出かけた時に・・・」
「・・・・・」
「歩いていたら、リボンが解けて、それを拾ってくれた人が…」

「食べる」という言葉を連呼していたのだ。
けれど、ルルはそれがわからなくて、とにかく拾ってくれてありがとう―と、お辞儀をしたのだが。
何故か手を取られて、近くにあったカフェに入ろうとしたので、慌てて断ったのだ。

帰り道、その人が食べる仕草をしながらその単語を繰り返していたので、「食べる」という言葉だったのだと思いついた。
きっと、一緒にお茶でも、というお誘いだったのだろう。

その話をそのまましただけなのに。
何故かアルバロは口元を歪めて、そのままルルを抱きあげた。
間近になった瞳の冷たさに、飲まれそうになる――

「俺はね、ルルちゃん。君が帰ろうとするのも、言葉を勉強するのも・・・とてもいいことだと思うよ」

抱きあげられて、そのままベッドの方に足を向けられる。
穏やかな口調が、却って怖い――

「それで君がここから逃げようとしても・・・それを連れ戻す楽しみが出来るしね」

逃げ出すのはちっとも構わない。俺の手でまた元に戻すだけ。
それがゲームみたいで楽しいしね、と低い、甘い声で呟かれ。

「でも、手放す気はないよ。…お前は俺の玩具だと言っただろう――?」

どさっと、ルルの体を気遣う様子もなく、ベッドに放り投げられた。
見下ろす瞳が赤黒く光って――

「・・・逃げたりなんて、してない――ただ、外に出て・・・」

いただけだと、弁解するように言葉を必死で出そうとするルルの上にアルバロが覆いかぶさり、躊躇なくその服に手をかけた。
震えながらその手を止めようとするけれど、何にもならないほどにその細い腕にこもった力が強い。

「そうだな、ただ外に出て――…他の男の玩具になるところだった…それだけだ」

ふっと目を細めて、湛える微笑みとは裏腹に、服は乱雑に剥ぎ取られていく。
肌に直接感じる空気に、羞恥心で顔に熱が集まる。

「玩具だなんて…何にも…っ大体!そんな変なこと言うのアルバロくらいしかいない…っ!!」

一緒にいることを楽しいと思えていたのに、こんな――
嫌だと体を捻ろうとしても、動かない。
抵抗するだけ、無駄なのだとどこかで悟ってしまう。
怖くて、こんなのは嫌で…

「・・・止めて、アルバロ・・・お願い・・・アルバロ・・・」

涙が次々と流れて、視界はぐちゃぐちゃで。
それでも必死に、そう言葉を紡いだのに。

「・・・俺は・・ルル、おまえを手放さないと言った。なのに、こういうことは理解していなかったと・・?」

おかしそうにアルバロが低く笑いを漏らした。
そのまま、胸に顔を埋める。
ルルの悲鳴のような懇願さえ、全く気にならなかった。
むしろその声に、もっと、もっと――と欲が出る――

ただの快楽の為だと、娯楽の一環だと思いながらルルの体を嗜なんで。
足をこじ開ける頃には、もう、ルルは涙すら出ていなかった。

強張った体で、シーツをぎゅっと握って、明後日の方向を見上げるルルの頬に手を添えて。
強引に自分の方へ向けながら、自分自身をルルにあてがって挿入させた。

痛みがルルの顔を苦痛に歪めて。
余程なのか、手はアルバロの腕に縋り、爪を食いこませている。
腕を襲う痛みと、ルルの表情が押し寄せる快楽をより強いものにして。

うっすらと汗ばんだ額に張り付く髪を、ルルの口に寄せて払いながら、そのまま位置をずらし荒い口付けを交わして。
絶え絶えになった声と吐息の合間に、刻み込ませるように呟いた。

「逃げるのはいい――俺のことをどう思おうと、おまえの勝手だ、だが――…」

「他の男の手にかけられることは、許さない――」


俺の、玩具だ――

ルルがその言葉にようやくアルバロのことを見上げて、瞳を合わせた。
精神が壊れたかとも思ったルルの瞳は、まだ、ちゃんと色を保っていた。
その事に、何故か、どこかでそれを喜んでいるような気がして、アルバロはさっと頭を振ると、そのまま一層激しく腰を動かして、

俺の―という言葉を、象徴するように深く中へと吐き出した――



***



あれから、何度ルルを抱いただろう?
朝になって、気だるい体を無理やり起こして、苦目にコーヒーを淹れた。

ちらっとベッドの方に視線を向ければ、さすがにまだ起きれないのか、ルルはぐったり寝ている様だった。

『あんたんとこの彼女さん、変なのに絡まれていたよ』

昨夜部屋に戻りかけの際、そんなことを言われて。
しかもルルは絡まれていたことに気がついていない様で、御礼まで言っていたと教えられた。
他人に見せるいつもの顔を作って、ご親切に教えてくれてどうも、と皮肉ながらに答えて、階段を上がる時。

自分に簡単に誘拐されたルルは、俺が興味を持つほどに、面白い女。
だから、俺と同じことを思う馬鹿が、そのうち現れるかもしれない。

部屋に戻って、無邪気に笑顔を向けるルルを見て、無性にこの女を好きに出来るのは自分だけだ――
そう主張するような気持ちが、気持ち悪く胸の中をざわめかせて――だからだ――


「・・・・・・くだらない。今更考えることじゃない」

一人言だったそれに、ルルが「くだらなくない」と返事をする。
寝ていたと思ったのに、不機嫌そうにシーツで体を隠したまま、こちらを睨んでいる。

「・・・ルルちゃんはエスパー?俺がくだらないって思った事がわかるとでも?」

アルバロはいつもの口調で、流すようにその場を離れようしたのだが…

「わからないけど、でもアルバロがくだらないっていう事は、大体私にとっては大事な事だったりするもの」
「へえ、それってどんな事かな。例えば?」
「・・・・・教えない」

ツンと拗ねたように顔を横に向けるルルの態度。
意外だった。
目も合わせずに、必死で出て行こうとするだろうと考えていただけに――

「・・・あのね、もう少し素直に表現して」
「表現?何をかな」
「何をって・・その、好き、とか、嫌い、とか…」
「…ルルちゃんの言い方だと、俺が君の事を嫌いって表現してもいいってことだよね」
「ち、違うっそうじゃなくて…」

慌てて首を振って、もう、と自分を見返す瞳は昨日よりも大人びて見えた。
口元を綻ばせたままの体で、ルルの言葉を待つ。

「嫉妬するなら、もう少し可愛くして」
「・・・・・・・・嫉妬?」

お門違いな事を言う。
そんな気持ちが顔に出ていたのだろう、ルルが頬を膨らませた。

「お気に入りの玩具を取られそうになって、慌てたんでしょう?アルバロ。玩具を女の子って言葉に当てはめ直したら…」

普通に聞いたら、丸っきり嫉妬にかられたって事になるじゃないと続けるルル。
玩具と女をどうして同対象にしようとするのかわわからないが…

「ちゃんと、謝って。私、昨日怖かった…怖かったんだから…」
「・・・逃げても構わないよ。俺はこれから出かけるから」
「そんな事言って、連れ戻す気満々の癖に!手放す気なんてない癖に!大切な…玩具だって言い張るなら…」

のそっとシーツを巻きつけて、ルルは億劫そうに起き上がった。
体が痛むのか、ゆっくりとこちらに向かってくる。

「もっと、大切にして。・・・子供だって、それくらい出来るわ」
「残念。俺は子供じゃなくて、大人だから」
「・・・っそれなら、もっとわかっていると思うんだけど!」

もう!!と顔を真っ赤にしてプンプン怒ると言った表現が適切な、子供丸出しのルル。
そんな馬鹿な言葉のやりとりが、やはり楽しくて。
今まで以上の充足感を、感じた――

「・・・じゃあ、大切にして、可愛く扱えばいいってことだよね」
「・・・・・そ、そう・・・それにちゃんと謝って」

面白そうに目を細めたアルバロに、ルルは少し及び腰になる。

「わかったよ。…ルルちゃん、ごめんね――」
「…うん」

アルバロの言葉に、肩透かしをくらったような顔をした後、安堵したのか…ようやく微笑みを浮かべたルルに、満面の笑顔を向けてアルバロは言葉を付け加えた。

「初めてなのに、あれはキツかったよね。今夜は加減してあげるよ」
「うん・・・・・・・って、え、えええっ!?」

慌てふためき、バッと距離を開けそうなルルの体を強引に引き寄せて、キスを一つ。


今まで以上に手放せなくなった、俺の可愛い、ルル――









END









みく様。

リクエストありがとうございましたー!

アルルで、黒甘。
大好物のリクエストですw
裏でも!くらいのお言葉頂いたので…そんな雰囲気も出しておこうと…
それなら友情ED後の方が書きやすいな。

そう思ってこんな展開です。
途中バロさん鬼ですけど…大丈夫でしょうか??

最後は甘甘にしたつもりです。
最後のキスは…思わずルルが「うん」と言う程、甘いキスだったらいいなあとか。

楽しんで頂けますように!